SEOの管理方法
多くのメーカーがまず自社製品をいかに数多くの小売店頭に配荷して、フェース取りを拡大していくかを第一優先に取り組んできた。
それを受けて、卸も小売も各々の商品がその店で本当に売れるかどうかを深く考えずに「まず置いてみよう」という販売活動を続けてきた。
これは単なる「売上重視」の以上のように、返品の主な原因は販売の見込み違いによるものだった。
したがって大事なのは返品にならないような売り方をすることである。
川下からの返品を発生させない革新的な販売を確立するというのがこの無返品運動の最大のポイントとなった。
売り込みに過ぎず、安易な返品を引き起こす要因の一つになっていたのである。
それが無返品活動の実施によって販売部門の意識改革が進んだ。
セールスは販売データに基づく店頭重視の販売活動になった。
季節品などは時期を考慮し、早期販売はしない。
また、店舗への配荷も従来のように一度に大量に商品を小売店に送るのではなく、小売店の消化能力を見定めながら小口の配送を心がけるようになった。
過去の個店のデータを確認し、前年度に販売していたアイテムで本当に必要なものは何かを考え、販売店に提案するようになった。
また、それまでのDの倉庫に納品するまでの商談から、販売店が売れるセールスァウトの商談が中心になった。
さらに、カイロなどの季節品の導入の仕方もより計画的になったという。
従来であれば、季節品はシーズン前に大量に送品され、シーズンが終われば大量に返品されていた。
それをカイロの場合、前年販売した個数の8割くらいにし、残りはリピートで納品するようにしたという。
そこではあわせて適正なアイテムへの絞り込みも行われた。
他にも、例えば殺虫剤の場合、あるメーカーのブランドで小売店からの返品が前年同期比で5分の1まで減ったという。
もちろんメーカーへの返品はゼロである。
一方、売上は市場一般では対前年比84%という低調であったのに、104%の売上を達成できたという。
メーカーは返品がなくなるかわりに、売上減を心配していたが、返品が減っても、売上は増えたのである。
返品の原因分析の結果、販売の見込み違い以外にも返品を生み出す原因は存在した。
その一つが商品の汚損・破損や新商品発売に伴って行われる廃番の存在であった。
それについても変化があった。
無返品活動がスタートすると、商品・仕入れ部門では愛情をこめて商品に接するようになった。
庫内汚破損品の発生防止のため商品管理や配送時の商品の取り扱いに十分注意するようになったという。
現在、Dでは、川下の取引先から返品された商品については、7〜8割の商品を改めて販売できるように良品に再生しているという。
他方で、無返品運動の導入で川下の得意先も安易な仕入れを排除し、自店での販売量などを真剣に考えるようになった。
その結果、得意先の売場の商品管理も改善されたという。
また、返品する商品をゴミ扱いしていた得意先の担当者も、商品愛護に目を向けるようになったという。
得意先が売れ残った商品を返品するのは、仕入価格で問屋に売っているのと同じで利益がゼロ、経費だけが残る。
だから返品するよりも買った商品を責任をもって完売する方が利益を確保できることを販売店も学習したのである。
さらに、Dでは、製造中止やリニューアルで廃番になった商品については、再生しても販売できないため店頭で売り切る工夫をするようになった。
フェース替え時のカット商品についてはむやみに引き取らず、事前にカット商品を決め、マークダウンして売るようになった。
また、破損商品については社内販売で社員に使用してもらう。
そしてそれでも処理できないものについては廃棄する。
このようにして同社では、できるだけ川下からの返品を自社内で無駄なく処理するように工夫していったのである。
Dのこのような努力に対して、メーカーも無返品制度の趣旨を理解し、今では商品や企画の改廃情報をDに非常に早く届けるようになっているという。
以上の結果、Dではまず、メーカーへの返品の内容が主に製造過程で発生した不良品、量販店のPB商品の定番カット、D配送時点のトラブルによる誤配品といったものになった。
作業面でも、返品にかかる作業時間が大幅に縮小され、その分、商品管理に向けられるようになった。
また、倉庫の中も整然となり、在庫管理の精度もアップ、作業環境も改善された。
残業も大幅に減少したと数字的にも、メーカーへの返品は皆無になった。
メーカーへの無返品制度は92年の4月から始まったが、それ以来、川上への無返品を続けている。
また、得意先からの返品は当時、売上高の3.44%だったのが、1.30%まで減少した。
返品コスト(運賃と返品処理費)も無返品制度を始めるまでは、川上への無返品と川下からの返品との結合川下からの返品は受けるが、川上へは返品しない。
そのことが企業の能力を高めることになる。
Dの事例はそのことを我々に教えてくれる。
単に、川上へは返品しない、全量買い取りをするだけでも個々の社員の力が高まり、その結果、組織の能力が高まることは、ディマンド・チェーン経営を実践している企業の社長がよく口にすることである。
例えば、SのF社長は、全量買い取りをすることで、仕入れを行っているバイヤーがそれだけ商品選定に真剣になり、能力を高めることができる、と述べている。
Dの場合は、さらにその全量買い取りが川下からの返品とセットになっているところが特徴である。
そのことで、商品の仕入れだけでなく、売り方も変わり、商品への接し方も変わる。
業務の仕方そのものも変わり、それが経験を積み重ねるごとに洗練されていく。
同社はこのようにして持続的競争優位を手に入れようとしているのである。
商品販売のリスクを自らが負担し、川下からの返品を受ける、そのことで企業が強くなるという考え方を実践しているという点では、YことFも同じスタンスに立っている。
1750万円だったのが、無返品制度を始めることで93年には2604万円となった。
商品の再生費用の1千万円を差し引いても5千万円分の効果があったことになるのである。
ディマンド・チェーン経営という点から見た場合、Fが持つ2つの特徴が重要である。
一つがSPA(製造小売業)という形を採っていること、そしてもう一つが消費者からは理由を問わず、商品の購入後3カ月間はいつでも返品・交換するというポリシーを採っているという点である。
同社が店頭での販売、企画、生産までを行うSPAでYを展開しようとした理由は、当時、Y社長がカジュアル衣料でメーカーや問屋が作っていた商品に満足できなかったからだ。
Yという名の店舗を全国に展開するファーストリティリングは、90年代になって急成長を遂げた会社である。
特に98年2月に東京原宿に出店してからはその注目度は鰻登りに高まっている。
99年8月期で売上高1010億8千万円、経常利益11億6千600万円である。
毎年、40店舗を超える出店を行い、現在では400店舗を超える。
さらに全国への出店に加えて、既存店ベースでも売上を伸ばしている。
例えば、99年9〜2月の既存店売上高は同期比47%増であるという。
Y氏は100%リスクを負うことのメリットを強調する。
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